身近な真空
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この記載内容は、アルバック・グループのコミュニティ誌「ULVAC」No.41号のP14〜P15(2001年10月発行)より転載しております。記載内容は発行当時のもので、現在とは異なる場合がございます。

お米の付加価値向上に真空凍結乾燥が一役
----フリーズドライ発芽玄米とフリーズドライおにぎり----

 “米が主食”のアジアの人々-特に、日本人にとって、ご飯をより美味しく食べたい-とする願望は強い。そうしたニーズに応えるものとして、このところ、「真空凍結乾燥(FD)」を高度利用した新商品が相次いで開発され、話題を呼んでいる。
 今回紹介する2商品は、いずれも,お米の付加価値向上をめざしたもの。それらの商品は、より簡便に玄米食が可能になる「フリーズドライ発芽玄米(粉と粒)」であったり、非常時向けの長期間保存食となる「3年canおにぎり(ロングライフのフリーズドライおにぎり)」であったりといろいろ。
 そこで、ここでは、まだ、あまり知られていない、そうしたFD 商品を紹介してみたい。
FD食品

フリーズドライ発芽玄米

発芽玄米 -スプーン1杯で健康家族:株式会社おむすびころりん本舗
 株式会社おむすびころりん本舗(百瀬孝夫社長、本社・長野県三郷村大字明盛1589)は、30年前から、自社開発のFD(フリーズドライ)装置を使って、新食品の開発を続けてきている。
 これまでのヒット商品は、地元特産品の野沢菜を使った「野沢菜茶漬」や「わさび茶漬」「水もどし餅」など。そうした商品群の総売上げは、即席麺用具材を除き、一時期12億円を越すまでになった。
フロー  しかし、そうした商品だけでは、将来的な発展が期待できないことから、長期的展望にたって開発したのが「発芽玄米(つぼみ米)」。百瀬社長が生み出した独自のFD技術を利用したことで、培養中の菌数を抑えるなど、他社の製品に見られない特徴が多く生まれた。
 ところで、玄米には、かなり以前から、健康バランスを保ち、動脈硬化の予防や、肌の衰えを防ぐ薬効があると云われてきたが、煮えにくく、ボソボソして消化が悪いという欠点があった。そうした玄米の欠点を改善したのが発芽玄米で、農林水産省の中国農業試験場が基本特許をもっている。同社の商標である。
 水を吸わせた玄米を平らなトレーに入れ、キャリッジによりFD装置のタンク内に入れる。温度を35〜38℃に調整しながら、発芽させるが、培養時間は約13時間と短い。他社の製法は、数トンの大型水槽に投入して培養するため、発芽が不均一で、かつ20余時間培養するので雑菌数が10以上となる。異臭が出たり、生成された微量栄養素が培養液に溶け出してしまう欠点もある。最後に、FD処理して含水率を2%以下にし、保存性を高めている。
 こうして出来上がった発芽玄米は、加水して加湿することによって、遺伝子情報が働き、眠っていた酸素が活性化し、ビタミンEやギャバ(ガンマ・アミノ酪酸)などの微量栄養素が増加してくることが知られている。また、老化の原因である活性酸素の害を防ぐといわれているフィチン酸やフェルラ酸、トコトリエノール等の抗酸化物質が多く含まれている。
 同社の商品は、粒の形状を残したタイプとパウダー状に粉砕して、300ミクロンに造粒した易溶性顆粒タイプの2種類があり、小売価格はいずれも300g1300円。食べ方は、粒は白米1合に大さじ1杯混ぜて炊くだけ(1袋で白米2升分)。また、“粉”は温かい牛乳・スープに混ぜるだけ。1袋でスープ50杯分とれるという。
 この他にも、FDによらないレトルト殺菌型の発芽玄米(150g×4パック、小売700円)もある。発芽玄米は主食そのものが栄養素となるという意味で、その市場動向が大きな注目を集めている。FD装置を生かした“無菌化培養技術”と保存性を高め、使用簡便に的を絞った“FD発芽玄米”が、市場の成熟化が進むFD食品の将来に、明るい話題をもたらしたといえよう。

3年canおにぎり(フリーズドライおにぎり)

FDおにぎり-ロングライフが売りものの非常食向け:宮坂醸造株式会社
 宮坂醸造株式会社(宮坂和宏代表取締役、本社・東京都中野区野方2-4-5)は、信州生まれの清酒「眞澄」、「神州-味噌」からフリーズドライ食品までを手がける総合食品メーカーで、創業は1662年(寛文2年)。
 現在の年商額は約100億円で、そのうちフリーズドライ関連商品の売上げは約20億円。
 FD食品が軍事用食糧として開発されたのは、1950年代後半のことだが、宮坂醸造はそのFDにいち早く注目、まず、中野の本社工場で研究を開始し、1971年(昭和46年)に専門工場として、東久留米工場を完成した。メイン商品である神州-味噌を手はじめに、あらゆる食品のフリーズドライ化にチャレンジし、その実績は、広く多くの企業にも認められ、現在では他の食品メーカーからFD化生産を依頼されるケースのウエートが大きくなってきたという。
 予備凍結したままの食品の高真空化(大気圧の約1/7,500)で凍結乾燥することによって生まれるFD食品。宮坂醸造では、野菜から魚介、果実、調味料、きのこ、米飯、調理品(おせち料理、春の七草、ひじき煮、切り干し大根、おから、キンピラゴボウなど)までを商品化している。
 これらのうち、今回、紹介するのは「フリーズドライおにぎりパック(4個入り)」(小売価格900円)とともに発売されている「ロングライフ 3年canおにぎり(10個入り)」。この「3年canおにぎり」(同2,800円)は、缶詰め式の脱酸素剤入りで、3年間保存できる点が特徴。まず、災害対策用の非常食として発売した(米国では20年もつ缶詰めが出ているが)。
 他社の熱風乾燥タイプのα米おにぎりは、FDタイプに比べ、単価が安いことから(1kg当たりの価格がFDの3000円以上に対し、約1200円)、既に、地方自治体で災害対策用として、常備されているようだが、宮坂では、美味しさと戻し時間の短縮をセールスポイントに、普及をはかっていきたい-としている。
 現在、この種のおにぎりをFDで商品化しているのは宮坂醸造だけ。今後の市場拡大に期待したい。


FD

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